- 日本酒、純米酒の醪(もろみ)造り
醪(もろみ)とは、仕込みに用いるタンクのなかで酒母、麹、蒸米が一体化した、白く濁って泡立ちのある粘度の高い液体のことであるが、学問的・専門的にではなく、あくまでも一般的理解のためという前提で補足すると、日本酒の製法という文脈に限っては、 「醪(もろみ)」=「仕込み」=「造り」 としてほぼ同意に使われることが多い。 したがってこの醪造りも、単に「造り」と呼ばれる。「一に麹、二に?、三に造り」というときの「造り」はこれを意味している。またこの造りをおこなう場所を仕込み場(しこみば)という。
現在の仕込み場は、たいてい温度センサーのとりつけられた3t仕込みタンクが並んでいる。 醪造りの工程においては、酵母のはたらきでもろみがアルコールを生成すると同時に、麹によってデンプンが糖に変わる。この同時並行的な変化が日本酒に特徴的な並行複発酵である。
また仕込むときに三回に分けて蒸米と麹を加える。これが室町時代の記録『御酒之日記』にもすでに記載されている段仕込みもしくは三段仕込みである。 この方法により酵母が活性を失わずに発酵を進めるため、醪造りの最後にはアルコール度数20度を超えるアルコールが生成される。
これは醸造酒としては稀に見る高いアルコール度数であり、日本酒ならではの特異な方法で、世界に誇れる技術的遺産といえる。 1回目を初添(はつぞえ 略称「添」)、踊りと呼ばれる中一日を空けて、2回目を仲添(なかぞえ 略称「仲」)、3回目を留添(とめぞえ 略称「留」)という。20 - 30日かけて発酵させる。 吟醸系(吟醸酒・大吟醸酒)と非吟醸系(それ以外の酒)は、この過程において以下の二つの点で造り方が分かれる。
- 日本酒、純米酒の醪の温度管理
酵母がブドウ糖からエネルギーを得るためにも、また酵母が自身にとって快適な生存環境を構築するためにも、熱が放出される。しかし、その熱は醪の中の化学成分、特に有機酸に影響を与えて、雑味となる成分を生成してしまう。
また生物は、主な構成物質が蛋白質であるために、その大半は蛋白質の凝固温度の手前である35℃前後が活動に適した温度である。雑味を抑えるためには、発酵熱が放出されてもなお35℃を下回らなければならない。そのために、日本酒造りは冬の寒い時期に行われることになった。通常の造りは15℃前後に熱を抑えるのに対し、さらに有機酸への影響を多く考えなくてはならない吟醸系の場合は10℃前後が目安とされる